Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
村のひとは、これを見ると、
「中の浜の弥作は、荷駄馬の性とみえる。体じゅう空いている所はない。背にも負ったり、手にも持ったり、首にもぶら下げて、しゃんしゃん歩く」
と、笑った。
田へ出て来ると、弥作は、老母や荷物を、やおら降ろす。そして春なら柔かい草のしとねに母を置き、夏ならば木蔭の涼しい所に、冬は風除を竹で編んで陽の暖かな所に母をおいて、終日、自分は働いている。
田を鋤き、畑を打ちながらも、かれは時々母のほうを見て、母が楽しんでいれば楽しみ、母が淋しそうにいると淋しくなる。
かれの母は、何よりも酒が好きなので、酒の買ってやれない日は、そのすがたを畑から見るのも恐ろしかった。
「早く伸びて酒になれ」
麦を耕すにも、稲を植えるにも、弥作はそう祈るほど、それを楽しみに働いた。
ある日、弥作の貧しい家に、飄乎として、白髯の一高士が杖をとめた。
「弥作さんというのは、おまえかい?」
「はい。わしが弥作でございますだが」
「いくつだね、おふくろどのは」
「もう七十二になりますだ。あの通り背もまるまッて、まるで子どものようで」
「これで、酒なと買ってやるがよい」
一封の金をおいて、供の人でも待たせてあるのか、家の横ではなし声がしたと思うと、すぐ見えなくなってしまった。