Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
――かくては、慄然、日ごろの不安を、いやが上にも募らせた吉保は、奸佞の本質をあらわして、紋太夫と謀り、にわかに老公へ対して、ある決意をかためたらしく存ぜられます」
「――ある決意とは?」
「それこそ、吉保が年来胸底に秘めている最後の匕首です。切札です。……前中納言光圀卿こそは、西国の某大藩の主とかたらい機を計って幕府を仆し、政治を朝廷に回し奉らんとする大それた陰謀の首魁であったと綱吉将軍の前へ、生き証人を拉して、いわせることです」
「ううむ、怖ろしい相手ではある。……しかし、そんな生き証人になる者がいるだろうか」
「おりますとも」
「それは、どこの何者」
「あまりに近いので、よもやと誰も思うでしょうが、藤井紋太夫、かれこそその切札となる漢です」
「まさか、ご主君を」
「かれに君臣の道が明らかに見えているくらいなら、今日の禍いは起りません。かれはもう道義の盲、人倫の外道と化しておる者です。人として考えるわけにはゆきません」
十
人として考えられない人物などを家老に持っている一藩の不幸はいうまでもない。
そんな人物ならすぐ除けばいいようなものの、かれには牢固たる勢力がある。