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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

十三

裏門は、閉まっているきりで、異状はない。だが、庭へはいると、そこここに、朱になった侍の死骸が横たわっている――三人、四人、中には、手槍をもって、鮮血のなかに伏しているのも見えた。

「だいぶやったな。……それにしては静かな」

と、つぶやきながら、書院の縁に近づくと、すぐそこの障子の蔭から、

「やっ、あぶない。貴公とは知らず、すんでに」

と、太刀を片手にした渡辺悦之進が、忽然と笑い顔を出した。

十三

「思いのほか、留守には、家来やら用心棒やら、さむらいどもも大勢おったらしいのに、よく手際よく……」

出あいがしらに、剣持与平が称えると、悦之進は、顔を振っていう。

「いやいや、刀槍を押っ取って、出て来た者は片づけ易かったが、悲鳴をあげて逃げまわる召使の女たちや老婆には困じ果てた。そのほうがよほど始末に弱った」

「して、ほかのご両所は」

「江橋林助はいま、その女たちを、奥の一室へ閉じこめて、立ち躁ぐな、そち達の身には、危険もないことと、よくいい諭して、抑えておるし――佐々介三郎は早、主、紋太夫の居間や、奥の室を、懸命にさがしておる」

「まだ、見つからぬか」

「柳沢との往復の文書が、その交い棚のうえの手筥から、二、三通出て来たほかは――」