Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
景助は、両手をいっぱいに伸ばして、反りかえった。
「たとえ、老公のお杯なりと、ここのところを、われわれに解らしてくれなければ飲まん。飲むものか」
と、手の癖で、すぐそこらにある他人の杯を手に挙げて、
「さあ、仰っしゃい!」
「なにをじゃ」
「なんで、お退きになったか。隠居などなされたか」
「年を老れば、順にひっこむ。若いものに、あとを譲る。当然じゃろ」
「いや、それは、世のつねのこと。源光圀公ご一人にかぎっては当然とは申されぬ。……な、なぜとあればだ。あなた様というものは、いまの日本に、ただおひとりしかないお方だ。ほかにも、偉そうなのは、たんといよう。柳沢吉保とか、松平なにがしとか、幕閣の諸役人が。……けれど、日本の役人、天下の臣たる人は、あなた様しかおりませんぞ。……」
「過言じゃ、そんなことはない。そんなことはない」
「いいや、そうだ、極々、少数かもしれないが、われわれとか、世の心ある一部では、そういっている。しかるにだ。その唯おひとりまで、身を退いてしまったら、これからさきの世のなかは一体どうなるのだ。……歓んでいるのは、柳沢吉保の一門だけだろう。目のうえの瘤がとれて、もうなんでもできる。