Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
つまりこの事件には犯罪というほどのものは一つもなく、長吉のヒステリーと僕の気まぐれから出発して、幾つもの偶然が重なり合い、非常な血腥い大犯罪らしいものが出来上ってしまったのです」
河野はため息と共に長物語を終りました。私は裏面の事実の意外さに、暫くは物をいうことも出来ませんでした。
「そういう訳ですから、どうかこのことは君の腹だけに納めて、誰にも話さないで下さい。もしこれがばれて、元の雇い主に呼び戻される様なことがあれば、長吉はきっと生きてはいないでしょう。僕も世間に顔むけの出来ないことになります。どうかこの僕の願いを聞き入れて下さい。誰にも話さないと誓って下さい」
「承知しました」私は河野の態度に引入れられ、さも沈痛な調子で答えました。「決して他言しません。どうか御安心下さい。そして一刻も早く長吉のいる所へ行って、あの人をも安心させて上げて下さい。僕は蔭ながらお二人の幸福を祈っています」
そして、私は一種の感激を以て河野と別れを告げたのです。河野は私の汽車の出るのを。感謝をこめたまなざしで、永い間見送ってくれました。
それ以来私は彼等を見ません。河野とは二三度文通はしましたけれど、彼等の恋がどの様な実を結んでいたかは知る由もないのです。