Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
二十九
私は、浴場の方へ気が走って、河野の長々しい説明をもどかしく思いました。田舎の巡査なんて暢気なもので、一向平気で腰を据えています。河野も河野です。説明はあとでもよさそうなものを、まだ長々と喋りつづけるつもりです。
「死体の処理に最も便利な地位に居ること、手の甲の煤跡、血のついた短刀、数々の贓品、つまり彼が見かけによらぬ悪人であること、これだけ証拠が揃えば、もう彼を犯人と見る外はないでしょう。あの朝脱衣場を掃除しながら、マットの位置のちがっているのを直さなかった点なども、数えることが出来ます。ただ殺人の原因は、私にもよく分りませんが、ああした白痴に近い男のことですから、我々の想像も及ばない様な動機がなかったとは限りません。酒にみだれた女を見て、咄嗟の衝動を圧え兼ねたかも知れない。それとも例の悪事を長吉に知られて、彼女の口から発覚することを恐れた余りの無分別かも知れない。それは想像の限りではありませんが、動機の如何に拘らず、彼が犯人であることは、疑う余地がない様に見えます」
「それで、彼は長吉の死体を、浴場の竈で焼いてしまったとおっしゃるのですか」
巡査が信ぜられないという顔で、口をはさみました。