Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
七
…………私はそうして、毎日毎日、飽きもせず眺め暮したことであります。
七
そして、ある日のことでありました。
毎日欠かさず湯殿に来る娘が、どうしたことか、その日は夜になっても姿を見せないので、見たくもない他の人達の身体を、眺め暮している内に、いつしか夜が更けて、もう浴客も尽き、いつもの例によると、あとは、十二時頃に女中達の入浴するまで、一二時間の間、鏡の表に人影の現れることはないのです。
私はもうあきらめて、最前から敷いてあった床の中にもぐり込みました。すると、今まで気にもとめなかった、一間置いて向うの部屋の、馬鹿騒ぎが、うるさく耳について、とても眠ることが出来ません。田舎芸妓のボロ三味線に、野卑な俗曲を、女の甲声と、男の胴間声とが合唱して、そこへ太鼓まで入っているのです。珍しく大一座と見えて廊下を走る女中の足も忙しそうに響いて来ます。
寝られぬままに、私は又もや床を這い出して、鏡の所へ行きました。そして、ひょっとして、あの娘の姿が見られはしないかと、そんなことを願いながら、ふと鏡の表を見ますと、いつの間に来たのか、そこには一人の女の後姿が映っているのです。