Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
三十三
「まあそうあせらないで下さい、順序を追ってお話ししないと、僕の方がこんぐらかってしまうのです。その血のことも直に御話しますから」
河野は私の中言を制して置いて、更に彼の長々しき告白を続けるのでありました。
三十三
「そういう訳で、僕は、脱衣場の大姿見のどの辺の所へ立てば、身体のどの部分が覗き眼鏡に映るかということを知っていたのです。丁度あの当時、覗き眼鏡が望遠鏡の様な装置になっていて、姿見の中央の部分だけが、大きく映るのでしたね。僕は君の留守中に入浴者の裸体姿の大映しを、盗み見たことがあります。そして、恐らく君もそうだったのでしょうが、僕はあの夢の様な無気味な影像に、一種異様の魅力を感じたのです。そればかりか、もしあの水底の様に淀んだ鏡の面に、何かこう血腥い光景が、例えば豊満な裸女の肩先へ、ドキドキ光る短刀がつきささって、そこから真赤な血のりが流れ出す光景などが、映ったならば、どんなに美しいだろう、という様な空想さえ描いたのでした。いうまでもなく、それはほんの気まぐれな思いつきに過ぎないもので、さっきいったもう一つの突発事件がなかったなら、それを僕自から実演しようなどとは思いも寄らぬことでした。