Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
三十四
そして、この悪夢の様な気分から、僕はふと途方もないことを考えついたのです。『そんなにいうなら、殺して上げよう』僕はそういって長吉を湯殿へつれ込みました。焚場を覗いて見ると、幸三造はいない。そこの棚の上には彼の短刀がのっかっている。(これは前から見て置いて知っていました)で御承知の兇行が演じられた訳なんです」
三十四
「そういう際ながら、僕にはあの激情的な美しい光景を、君に見せて上げたい気持があったのです。ひょっとしたら、長吉を逃すことよりも、その方が重な動機だったかも知れませんよ。しかし丁度その時、君が眼鏡を覗いていてくれたかどうか、もし覗いていなかったとすると、折角のお芝居が何の甲斐もないことになります。そこで、僕はもっと現実的な証拠として、前以って脱衣場の板の間に血を流して置くことを考えつきました。でも、これとても本当に気まぐれな、お芝居気たっぷりな咄嗟の思いつきに過ぎなかったのです。
僕はある旅先で、友達から注射器を貰っていました。僕の癖としてそういう医療器械などにいうにいわれぬ愛着を感じるのですね。おもちゃの様に、しょっちゅう持ちあるいていたのですよ。