Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
六
私はしばしばこんな嘆声をもらすのでありました。
六
ところが、間もなく、私の鏡の世界には、平凡な景色に退屈し切っていた私を、驚喜せしめる様な人物が現れました。(そして、その次ぎには、もっともっと、そんなものよりは幾層倍も驚くべき事件が、鏡の中に起ったのですが)それは、最近宿についた、東京の富裕階級に属するらしい、女づれの一家族の一人で、十八位に見える、非常にけばけばしい身なりをした娘でした。彼女がはじめて私の鏡に現れた時、私は何かこう、その薄暗いガラスの中に、真赤なけしの花でも咲いた様な気がしたものです。彼女は身なりにふさわしく、世にも美しい容貌の持主でした。そして、その容貌にもいやまして、彼女の身体は美事でした。西洋人の様に豊かな肉体、桜の花瓣の様に微妙な肌の色、それだけでも十分私を驚かせたのですが、その上彼女には、鏡の前の不思議な癖さえあったのです。………………………………
廊下などであった時の、つつましやかな、とりすました様子に引かえ、たった一人で姿見の前に立つ時には、彼女はまるで別人の様に大胆になりました。………………………………
私は初めて、若い女が、自分自身の肉体に見とれる有様を、隙見することが出来ました。