Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
人気稼業ですからね。そうでもないことが、世間の噂になったりしますと、商売に触りますからね」
デブデブ太った湖畔亭の主人は、そこへ入るなり、囁き声でいいました。そして、血痕を見ると、
「ナアニ、これは何かの汁をこぼしたのですよ。人殺しなんて、そんな馬鹿な、第一叫び声を聞いたものもなければ、内のお客様に見えなくなった人もありませんからね」
彼は強いて打消す様にいいながら、しかし、内心では十分おじけづいているらしく、
「けさ、ここを掃除したのは誰だ」
と女中の方を振かえって聞きただすのでした。
「三造さんでございます」
「じゃ、三造をここへ呼んでおいで、静にするんだよ」
三造というのは、そこの風呂焚きをしている男でした。女中に伴われて来た様子を見ますと、日頃お人好しの、少々抜けているという噂の彼は、まるで彼自身が人殺しの犯人ででもある様に、青くなって、おずおずしているのです。
「お前は、これを気がつかなかったのか」
主人は怒鳴る様にいいました。
「ヘエ、一向に」
「掃除はお前がしたんだろう」
「ヘエ」
「じゃ、気がつかぬはずはないじゃないか。きっとなんだろう。ここにあった敷物をのけて見なかったのだろう。