Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

「これで見ると今の男は、ひょっとしたら例のトランクの紳士かも知れませんね。あの男ならこの財布の持主として相当していますからね」

何だかえたいの知れぬものが、私の頭の中でモヤモヤしていましたが、咄嗟の場合まずそんな想像が浮ぶのでした。

「しかし、妙ですよ。あれが人殺しの本人だったとすると、今頃何のためにこの辺をうろついているのでしょう。逃げ出した所を見れば、刑事なんかでなくて、犯罪に関係のある者には違いないのですけれど、それにしても妙ですよ」

河野は、考え考えいいました。

「曲者の姿形は少しも分りませんでしたか」

「エエ、アッと思う間に逃げ出したのですからね。暗闇の中を蝙蝠かなんかが飛んで行った感じでした。そんな感じを受けたというのが、つまり和服を着ていたからではないかと思います。帽子は冠っていなかった様です。脊恰好は、馬鹿に大男の様でもあり、そうかと思うと、非常に小さな男の様でもあり、不思議に覚えていません。湖水の岸を伝って庭の外へ出ると、向うの森の中へ逃げ込んだ様でした。あの深い森ですからね。追駈て見た所で、とても分るものではありませんよ」

「トランクの男は(松永とかいいましたね)肥え太った男でしたが、そんな感じはしませんでしたか」