Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
呂宋兵衛は富士の人穴へきてから、たちまち小角の無二の者となった。かれの父が、南蛮人のキリシタンであったから、呂宋兵衛もはやくから修道者となり、いわゆる、切支丹流の幻術をきわめていた。小角はそこを見こんで重用した。
しかし根が邪悪な呂宋兵衛は、たちまちそれにつけあがって陰謀をたくらみ、策をもって、小角を殺し、配下の野武士を手なずけ、人穴の殿堂を完全に乗っ取ってしまった。
小角のひとり娘の咲耶子は、あやうく父とともに、かれの毒手にかかるところだったが、節を変えぬ七、八十人の野武士もあって、ともに裾野へかくれた。そしていかなる苦しみをなめても、呂宋兵衛をうちとり、小角の霊をなぐさめなければならぬと、毎日広野へでて、武技をねり、陣法の工夫に他念がなかった。
――その健気な乙女ごころを天もあわれんだものか、彼女はゆくりなくも、きょう伊那丸と一党の人々に落ちあうことができた。
かつて、伊那丸が人穴の殿堂にとらわれたときに、咲耶子のやさしい手にすくわれたことがある。いや、そんなことがなくっても、思いやりのふかい伊那丸と、侠勇勃々たる一党の勇士たちは、かならずや、咲耶子の味方となることを辞せぬであろう。