Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
だから、その奇蹟についてはあまり、多くを語らなかったが、火独楽水独楽、どっちも、なにかの不可思議力を持つものにちがいない。
だが、――竹童の今は、しんに、間一髪をおく間もない危機である。もとより、かれが、卜斎が大刀をふりかぶったとたんに、ふところの独楽をつかんだとはいえ、ふかい、冷静な、思慮ののちにそうしたのではない。寸鉄もおびていない自衛意志が、おのずから独楽をつかませたのだ。
それが、たとえば一個の石にすぎなくとも、この場合、竹童の手は、その石へふれていたにちがいない。
「なんできさまたちの刃にたおれるものか!」
口にはださないが、竹童の顔筋肉はそういう風に引きしまっていた。
そして、独楽をかたくにぎった。
遊戯に、まわすべき独楽なら、紐のこともかんがえるが、いまの場合そうでない。武器として、目つぶしとして、敵が大刀へ風を切らせてくるとたんに、卜斎の眼玉へ、それをたたきつけようと気がまえているのだ。
卜斎も、竹童のたいどをみて、うかつにはそれをふりおろしてこない。ジリ、ジリ、と一寸にじりに寄りながら息をはかり、気合いをかけたが最後、ただ一刀に、息の根をとめてしまおうとするらしい。