Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
南蛮寺百鬼夜行
一
月はあるが、月食のような春のよい――たちこめている夜霞に、家も灯も野も水も、おぼろおぼろとした夜であった。いつともなく菊亭右大臣家の釣り橋にたたずんだ三人づれの旅僧は、人目をはばかりがちに、ホトホトと裏門の扉をおとずれていた。
「はて、まだ答えがござりませぬが、どうしたものでござりましょう」
やがて、当惑そうにつぶやく声がきこえた。
「まえもって、密書をさしあげてあることゆえ、館にはとくよりごぞんじのあるはずだが……」
「あまりあたりをはばかりますゆえ、まだ詰め侍が気がつかぬのでござりましょう。どれ……」
となかのひとりが、こころみにまた、閂をガタガタゆすっていると、こんどは、その合図がとどいたとみえて奥にもれていた小鼓の音がはたとやみ、同時に人の跫音がこなたへ近づいてくるらしい。
ギイ……とうちから裏門の扉があかった。
ななめに、紙燭の黄色い明かりがながれた。その明かりに、泛いた僧形のかげを見ると、顔をだした公卿侍は、
「や! これは?」
とおどろいたさまで、すぐに、ふッとかざしてきた紙燭を吹きけしてしまった。
「意外にお早いお着き、お館さまもお待ちかねでござります。