Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
蜘蛛の子と逃げ散る餓鬼
一
陸をみれば、泊、八幡、白子の在所在所、いずれをみても荒涼たる焼け原と化して、あわれ、並木のおちこちには、にげる途中でなげすてた在家の人の家財荷物が、うらめしげに散乱して、ここにも、斬ッつ斬られつした血汐や槍の折れや、なまなましい片腕などがゆくところに目をそむけさせる。
すると、この酸鼻な戦場の地獄へ、血をなめずる山犬のように、のそのそとウロついてくる人影がある。
「お、こいつの差している刀はすばらしい」
「しめた、ふところから金がでたぞ」
「やあ、この陣羽織は血にもよごれていねえ。ドレ、こっちへ召上げてやろうか」
ざわざわと、こんなことをささやきながら、あなたこなたにたおれている武士の物の具や持ち物を剥ぎまわっているのだ。
ああ戦国の餓鬼! 戦場のあとに白昼の公盗をはたらく野武士の餓鬼! その一群であった。
「おい! もう大がいにしておけ。あまりかせぎすぎると、こんどは道中の荷やッかいになって、釜をかぶって歩くようなことになるぞ」
すると、この野盗の頭とみえて、ふとい声が土手の上からひびいた。ヒョイとそこをふり仰ぐと、臥龍にはった松の木のねッこに、手下の稼ぐのをニヤニヤとながめている者がある。