Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
四
と、かれはいきなり下から、ぎゅッと才蔵の帯をにぎりしめた。
「あはははは、およばぬ腕だて」
と、才蔵は力をゆるめて笑いだした。
「笑っていろ、笑っていろ、そして、いまに見ているがいい、この下の煙硝庫が破裂して、やぐらもきさまもおいらも、一しょくたに、木ッ葉みじんに吹ッ飛ばされるから」
「えッ、煙硝庫が?」
「おお、あのなかへ松明を、ほうりこんできたんだ。ああいい気味、その火を見ながら死ぬのは竹童の本望だ、おいらは本望だ」
「いよいよ、よういならん小僧だ」
さすがの才蔵も、これにはすこしとうわくした。がいまの一言を聞いて、
「では、もしや汝は、伊那丸のために働いている者ではないか」
と、問いただした。
「あたりまえさ、伊那丸さまをおいて、だれのためにこんなあぶない真似をするものか、おいらもお師匠さまも、みんなあのお方を世にだしたいために働いているんだ」
「おお、さてはそうか」
と才蔵は飛びのいて、にわかに態度をあらためた。竹童は、手をひかれて起きあがったが、少しあっけにとられていた。
「そうとわかれば、汝を手いたい目にあわすのではなかった。なにをかくそう、拙者はわけがあって、秀吉公の命をうけ、この裾野のようすを探索にきた、可児才蔵という者だ」