Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
「漁師の家と見える、ひとつ、訪れてみよう」
と龍太郎は、ツカツカと軒下へきて、開けっぱなしになっている雨戸の口からなかをのぞいてみると、うすぐらい灯のそばに、ひとりの男が、朱にそまった老婆の死骸を抱きしめたまま、よよと、男泣きに泣いているのであった。
二
龍太郎が、そこを立ちさろうとすると、なかの男は、跫音を耳にとめたか、にわかに、はねおきて、壁に立てかけてあった得物をとるやいなや、ばらッと、雨戸のそとへかけおりた。
「待てッ、待て、待てッ!」
あまりその声のするどさに、龍太郎も、ギョッとしてふりかえった。すると――そのせつな、真眉間へむかって、ぶんとうなってきたするどい光りものに――はッとおどろいて身をしずめながら、片手にそれをまきこんで袖の下へだきしめてしまった。見ればそれは朱柄の槍であった。
「こりゃ、なんだって、拙者の不意をつくか」
「えい、吐かすな、おれのお母をころしたのは、おまえだろう。天にも地にも、たったひとりのお母さまのかたきだ。どうするかおぼえていろ!」
「勘ちがいするな、さようなおぼえはないぞ」
「だまれ、だまれッ、めったに人のこないこの島に、なんの用があって、うろついていた。