Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

鼻かけ卜斎の越前落ちに、とちゅうまでひっぱられていった蛾次郎が、木隠龍太郎の行軍のなかにまぎれこんで、うまうま逃げてしまったのは、けだし、蛾次郎近来の大出来だった。

かれはまた、その列のなかから、いいかげんなところで、ぬけだして、すたこらと、白旗の森のおくへかけつけてきた。

見ると、そこに焚火がしてあり、鷲もはなたれているが、竹童のすがたは見えない。

蛾次郎は、しめた! と思った。今だ今だ、菊池半助にたのまれているこの鷲をぬすんで、徳川家の陣中へ、にげだすのは今だ、と手をたたいた。

「これが天の与えというもんだ、あんなに資本をつかって、おまけに、竹童みたいなチビ助に、おべっかをしたり、使いをしたりしてやったんだもの、これくらいなことがなくっちゃ、埋まらないや、さ、クロ、おまえはきょうからおれのものだぞ」

ひとりで有頂天になって、するりと、やわらかい鷲の背なかへまたがった。

蛾次郎は、このあいだ、竹童とともにこれへ乗って、空へまいあがった経験もあるし、また、この数日、腹にいちもつがあるので、せいぜい兎の肉や小鳥をあたえているので、かなり鷲にも馴れている。