Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
ついにむなしくその夜は明けた。――二日目もすぎた。三日目にも落とすことができなかった。ああなにせよ小勢、いかに伊那丸があせっても、しょせん、百人足らずの小勢では洞門ひとつ突き破ることもむずかしそうである。
「民部、わしはこんどはじめて、戦の苦しさを知った。あさはかな勇にはやったのが恥かしい。しかし武夫、このまま退くのは残念じゃ」
前面の高地、雨ヶ岳を本陣として、ひとまず寄手をひきあげた伊那丸が、軍師小幡民部とむかい合って、こういったのがちょうど九日目。
「ごもっともでござります」民部も軍扇を膝について、おなじ無念にうつむきながら思わず、
「ああ、ここにもう二、三百の兵さえあれば、策をかえて、一つの戦略をめぐらすことができるのだが」
とつぶやくと、伊那丸も同じように、嘆をもらして、
「そのむかし、武田菱の旗の下には、百万二百万の軍兵が招かずしてあつまったものを」
「また、わが君のおうえにも、かならず輝きの日がまいりましょう。いや、不肖民部の身命を賭しましても、かならずそういたさねば相なりませぬ」
「うれしいぞ民部。けれど、みすみす敵を目のまえにしながら、わずか七、八十人の味方とともにこのありさまでいるようでは……」