Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「いいとも、馬ぐらい盗みだすのは、ぞうさもないよ」
蛾次郎が闇のなかへ飛んでいくと、そのとたんに半助のあたまの上で、ドドドドスン! というすさまじい家鳴り震動。ふり仰いでみると、いまかれがのがれだした壁の穴から、濛々たる土煙が噴きだしている。
「おれがここへ抜けだしているのに、卜斎めが釣り天井の綱を切ったんだろう。そんな壺におちるような者は、伊賀衆の中には一ぴきもいるもんか」
せせら笑っていると、ふいに、家のなかから轟然たる爆音とともに、火蓋を切った種子島のねらい撃ち。
「あッ、気がついたな、こいつはぶっそうだ」
バラバラとかけだしていくと、暗闇から牛をひきだしたという諺どおり蛾次郎のうろたえよう。
「お侍さん、――お侍さんじゃないのかい」
「おれだおれだ、馬は? 馬はどこにいる?」
「ここだよ、馬を盗みだしてきたところだ」
「どこだ、アア、まっ暗。どこにいるのじゃ」
「ここだよ、ここだよ」
と蛾次郎が手をたたくと、その音をたよりにねらった鉄砲の弾が、またも、つづけざまに、二、三発、ズドンズドン! と火の縞を走らせた。
「わあッ、だめだ、あぶねえ!」
ふいに、蛾次郎が胆をつぶして腰を抜かしたらしい弱音。