Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
「どれ……」
すこし身を横にかがませて、暁天の闇をすかしたふたりは、なるほど、よくよく眸をこらして見ると、忍剣のいうとおり楼閣の三階目に、うす黒い影が立っているような気がした。
「しかし、あれに人のいるはずはなし、ことによったら棟木の瓔珞ではないか」
「いや、瓔珞がアア大きく見えるはずはない」
「といって、厳重にいましめておいた呂宋兵衛ではなおさらあるまい。ウーム、おや……、影がうごいた!」
「なに影がうごいた? オオ、いよいよあやしい」
「ちぇッ、やっぱり呂宋兵衛だ、どうして自由になりおったか、あれあれ、棟木の瓔珞に身をのばして、塔の屋根によじ登ろうとしておるのだ」
「一大事! それのがすなッ」
「オオ」
三人は疾風のごとく階段をあがって、扉を蹴ひらき、塔のなかへ躍りこんだが、南無三、二階三階へあがる梯子は、呂宋兵衛を頂上にほうりこんだ時、まんいちをおもんぱかって、みんな取りはずしたまま施無畏寺へはこんでしまった。
うっかり、それを忘れて飛びこんだ三人は、じだんだをふんで、
「しまった!」
とふたたびそとへかけだしてきた。
「なんじゃ、なにごとが起ったのだ」
ところへ、木隠龍太郎がくる。