Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「もし、伴天連さま」
きれいな侍女たちが三、四人、駕籠をはなれて腰をかがめた。伴天連――呂宋兵衛と蚕婆は、もったいらしく、祈祷の膝をおこして、
「はい、なんぞご用でござりますかな」
「あの駕籠のうちにおいでなされますのは、ご城主さまの奥方小谷の方さまでいらっしゃいます」
「ああそれはそれは、右大臣信長公のお妹君で小谷の方さま、おうわさにもうけたまわっておりました」
「奥方さまは、そのむかし、安土においでのころから、マリヤさまをふかいご信仰でいらっしゃいます。ついては、なにかお祈祷のお願いがあるとのこと、ごめいわくでも城内までお越しあそばしてくださいませぬか」
「おやすいこと、すぐにもお供もうしましょう」
と、呂宋兵衛は、人知れず蚕婆に目くばせして、聖僧気どりのうやうやしく、小谷の方の乗物について大手の橋を渡りこえた。
すると多門の塀際ですれちがった、りっぱな武士がある。
「おや?」
と伴天連のすがたを見送って、
「こりゃふしぎだ、いま奥方の供に加わっていったやつは、たしかに、いつぞや海賊船で別れた和田呂宋兵衛、ひとりは裾野の蚕婆によく似たやつだ……はて、みょうだわい」