Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

般若丸と謎の僧

一

「北国すじへ間者にいった、巽小文治はどうしたであろう」

「そういえば、東海道へいった山県蔦之助も、もうもどってこなければならないじぶんだが? ……」

小太郎山の山ふところ、石垣をきずき洞窟をうがち、巨材巨石でたたみあげた砦のなかは、そこに立てこもっている人と火気で、室のようにあたたかい。

いま、砦の一ヵ所に炎々と篝をたいて、床几にかけながらこう話しているのは、忍剣と龍太郎であった。

「ふたりとも、あまりに日数がかかりすぎる。悪くするとこの雪に道でもふみちがえて凍えたのではあるまいか」

「いや、とちゅうには番卒小屋もあり、部落部落には味方もいるから、けっしてそんなはずはない」

「では深入りして徳川家のやつに、生けどられたかな」

「蔦之助も小文治も、おめおめ敵の縄目にかかる男でもなし……きっとなにか大事なことでもさぐっているのだろう。それよりあんじられるのは竹童じゃ」

と、龍太郎は眉をくもらせた。

「オオ、竹童といえば、いったいどこへいってしまったのか、とんと尻のおちつかぬやつだ」

「しかしあいつのことだから、かならずクロをさがしだして、元気な顔でもどってくるだろうが、この雪や氷の冬のうちを、どこで送っているかと思うと、ふびんでもありしんぱいでならぬ……」