Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
三
と、ひとり合点をして泣き虫の蛾次郎、止せばよいのに性懲りもなく、また悪戯心をおこして、竹童の後からピタピタとついていった。
三
霞にぼかされた松の丘に、南蛮寺の朱門は、まだ、かたくとざされてあった。
稲妻形についている石段の道を見まわしても、きれいな朝露がたたえられて、人の土足にふみにじられているようすはない。
きょうの朝まだきに、桑名に在陣する秀吉のところへ向けて、和田呂宋兵衛が護送していこうとする勝頼の駕籠は、まだあの朱門をでて山をくだっていないようだ。……竹童はまずよかったと、そこでいっそう身をかがませながら、はうようにして、石段を一歩一歩とのぼっていく……
それを見ると、蛾次郎は、
「あはははは。やっぱり盲だ、石段を四つンばいになって登っていきゃアがる」
と、嘲笑いながら、心をゆるめてしまった。そこで、ふところの蕎麦まんじゅうを半分たべて、のこりの半分を、ポンと竹童の背なかへ投げつけながら、
「おい、鞍馬の竹童――どこへいくンだい」
と呼びかけた。竹童は、ハッとして石段へ身をねかせた。そしてジロリと、ふりかえって見ると、ゆうべ八神殿の床下でにがした蛾次郎だ。