Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「しめた!」
と、その片足をつかんでしまった。
まえには忍剣、横には伊那丸の太刀、足をつかまれて立ちすくみになった呂宋兵衛は、いよいよいまが最後とみえたが、いつもこうした破滅には、かならず南蛮流幻術で姿を消すのが、かれの奥の手だ。
いまもいまとて、伊那丸と忍剣が、一気にかれを討ちとろうとしたせつな、どこからともなく、ビラビラビラビラビラッと吹きつけてきた針の風! それは呂宋兵衛の幻術ではない、すぐかたわらの松の木のうえに、蝙蝠のごとく逃げあがっていた蚕婆が、呂宋兵衛あやうしと見て、例の妖異な唇から、ふくみ針を吹いたのだ。
梢はたかく、下へはかなりの間隔があった。無数の針は音なき風となって、ピラピラと飛んできても肌につき立つほどではないが、あたかも毒蛾の粉のように身を刺したので、ふたりはあッ――と面をそむけた。その一瞬だ!
「ええッ!」
と、するどく龍太郎の手を蹴はらった呂宋兵衛は、いきなり駕籠にかぶせてある鎖の網をつかんで、パッと大地へ投網のように投げた。
「あッ、また妖術を――」
とさけぶまに、龍太郎のからだがその鎖網のなかへつつみこまれたので、おどろいた忍剣、禅杖に風をきらせて五体みじんになれとふりつけると、おお奇怪! 一陣の黒風がサッと流れて、いままでほがらかだった春暁の光はどこへやら、あたりは見るま