Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
両童子空に闘う
一
ゆえ、ここを破ってまいるのもひとかたならぬご難儀かとぞんじまする」
「とわれらのとる道は、まず木曾路が一番安全であるという意見じゃの」
「さようにござります」
というと、忍剣が、異論をとなえて、木曾路ゆきに反対した。
「イヤ龍太郎どののお言葉は、もっとものようであるが、木曾路もけっして安心な道中ではない。なんとなれば、木曾の木曾義昌、きゃつも昔は武田家の忠族であったが、いまでは徳川家の走狗となっている、かならず若君に弓をひくやつであろう。ことに木曾路はゆくところみな難所折所、いざという場合にはいちだんと危険が多いように考えられる」
「では、忍剣どのには、北国路がよいと仰せられるか」
「北国路とて同じこと、柴田権六、ちかく賤ヶ岳まで軍兵をだして、木ノ芽峠には厳重な柵をかまえているように聞きますゆえ、ここを通るも難中の難でござる。で、おなじ難儀をみるものなら、むしろどうどうと徳川家の領土をぬけ、あわよくば浜松城のやつばらに、一あわふかせて引きあげたほうがおもしろいとぞんじます」
ちょっと聞くと忍剣の説は、暴論のように聞えるが、ふかく考えれば北国も木曾も東海も、その危険さは一つである。