Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

それもそのはず、この二月十日に七万の大軍を三道にわけて、都を発してきて以来の入浴で、寝ぬ日もきょうで三日つづく。しかし、垢はでるがいねむりはでない。かれは精力の権化であった。

「どれ……上がろうか」

湯の中に立って、手ばやく上半身を拭きはじめると、オオ、その時だ! れんげの花へピタリとからだを伏せて、蛇のようにスルリ、スルリ……とはってきた異形の武士が、寝たまま片腕をズーッと伸ばして、種子島の筒先を、秀吉の背骨へピタリとねらいつけた。

火縄をプッと吹いたようす――、ドーンと弾けむりがあがるかと思うと、せつなに、パッとはねかえった異形の武士は、串にさされた蛙のように、九尺柄の槍に胸板をつきぬかれ、しかもその槍尖はグザと大地につき立っていた。

「孫一、やりおったの」

それをニヤニヤ笑ってながめながら、秀吉、足を拭いて楯の上にあがった。加藤孫一、すがたは見せないが、向こうの楯のかげで、

「は、一益のまわし者と見ましたので」と答えた。

「イヤちがう。ありゃおそらく、徳川家の隠密組であろう。家康もなかなか人が悪いからの。あとでよく死骸のふところをあらためてみい」