Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
――ああ、いよいよあと十数里で、徳川家康の本城、浜松の地へ入ることになる。
さきに、奸策をえがいていた呂宋兵衛が、こんどは、狡智深謀な家康と、どう手を組んでくるだろうか。
伊那丸のまえには、いまや、おそるべき死の坑穴が何者かの手で掘られている。
死といえば、夜の湖水にただよっていた、鞍馬の竹童と泣き虫の蛾次郎。あのふたりの死はどうなっただろう。
死はどうなるものでもない。
死は絶対であり永遠である。
仲直り
一
琵琶湖のなかにひとつの島がある。本朝五奇景のうちに数えられている竹生島。
島の西がわ、天狗の爪とよぶ岩の上に、さっきからひとりの神官、手に笙の笛をもち、大口の袴をはき、水色のひたたれを風にふかせて立っている。
そこから小手をかざしてみると、うッすらとした昼霞のあなたに、若狭の三国山、敦賀の乗鞍、北近江の山々などが眉にせっしてそびえている。そして、はるか柳ヶ瀬のおくから、この琵琶湖へ一冽の銀流をそそいでくる高時川のとちゅうに、のッと空に肩をそびやかしているのは、賤ヶ岳の巨影で、そのうしろに光っているいちめんの明鏡は余呉の湖水と思われる。
と、――その神官の眼が、そこにピタリと吸いついて時ひさしくたたずんでいるうちに、賤ヶ岳から柳ヶ瀬にわたる方角に、モクリと黄色いけむりがあがった。