Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「ちぇッ! おつなことをおっしゃったよ。お腹の虫がチャンチャラおどりをしたいとサ」
「きッとか! 蛾次郎!」
「おどかすねえ、琵琶湖の水をのんで、助かったばかりのところを」
「だからだまっていろというのだ」
「そういわれりゃなおさわぐぞ」
「勝手にしろい」
「ざまを見やがれ、へッこみやがって!」
「こいつ!」
と竹童がわれをわすれて立ったとたんに、ヒョイと手をかけると格子のとびらが、観音びらきにサッと開いた。
「あッ――」
はずみを食って、塔の口からころがりだしたせつなに、蛾次郎も仰天して扉をおした。すると、意外や、そこも容易にパッとひらいて、かごの鳥が舞うようにかれも表へとんででる。――
そうだ、菊村宮内は、さッき社家のほうへもどる時、いつものように、そとから錠をおろしてゆかないようであった。なにか考えごとをしていて、ウッカリそれを忘れていたのだ。
それはいいが、さてまたここに一大事。
パッと両方の口からとびだした蛾次郎と竹童とは、王庭に血戦をいどむ闘鶏のように、ジリジリとよりあって、いまにもつかみ合いそうなかたちをとった。
裾野以来――また、京都の八神殿以来――かれとこれとは、いよいよ怨みのふかい仇敵となるばかりであった。