Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
ぬところの崖へ――山千鳥かとばかり散ってしまった。
大久保長安の後詰の手勢、百人ばかりはべつな道から緋おどし谷へ向かっていた。
糸染川と神仙川の合流するところで、熊蔵の一隊と一つになり、聖地のごとき百合の香花を踏みあらし、もうもうとした塵をあげて、れいの蔦のかけ橋まで殺到した。
「おお、こんなところに人家がある」
「あの女雀どもの巣であろう」
「それッ」
「片ッぱしから火をかけてみな殺しにしてしまえ」
「いや、手捕りにして、とりでの下婢にこき使ってやるのもよいぞ」
「かかれ!」
殺気をみなぎらした百六、七十人の軍兵が、いちどきにドッとかかったので、蔦のかけ橋は弓なりにしなって左右にゆすぶれ、いまにも、ちぎれて渓谷へ人間をブチまけてしまうかと思われた。
人家へせまるとその人数が、ワアーッと鬨の声をあわせた。まんいち、計りごともやある? と武者声をたけらして、敵の反応をさぐるのだった。
すると――
討ってでる敵はなかったが、どこからともなく幽玄な妙音をまろばしてくる八雲琴の音があった。
二
「やッ……琴の音がするッ?」
慄然として武者足がとまってしまった。
温熱のような殺気は弾琴の音に吹きはらわれて、ただ、ぼうぜんとふしぎそうに耳をすます軍兵の眼ばかりが光り合う。