Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、それは彼女の目には見えないで、ただ、翼の音にそう感じたのであるが、やがて、もっとはっきりした音が、バサッと、屋根瓦を打つように聞えて、あとはシンとしずかになった。

こんがら・せいたか

一

まるで夢のようだ。一瞬の疾風。

たしかに、竹童の愛鷲クロのようだったが――見ちがいであったかしら? 幻であったかしら? ――と咲耶子はあとのしずかななかで錯覚にとらわれた。

しかし、錯覚ではない。いまの名残の吹きあおられた落葉が、まだ一ひら二ひら宙に舞っているのでもわかる。鷲がこの源氏閣の附近におりたのは事実にちがいない。

とすれば、どこへいったのかしら――と彼女が欄の南側から奥庭の廂をのぞいていると、とつぜん、

キャッ! キッキッキ、キ、キ、キイ……

とけたたましい声をあげて、廂うらの垂木をガリガリと走ってきた小猿が、咲耶子の肩にとびついて手をやるとまた足もとへとび、おそろしくなにかに恐怖したらしく、彼女のまわりをグルグルまわりだした。

大久保長安が下のおく庭に飼っておく三太郎猿。

ときどき、源氏閣にはいあがってきて、幽閉されている咲耶子とは、いつのまにか仲よしになっていたが、今夜も、その仲よしの人のいる三層のうえの棟木へでもきて、腕枕で寝ていたものとみえる。