Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
「チェッ、ざんねん。あの八幡船のしわざにそういない。おのれどうするか、覚えていろ」
と地だんだ踏んでにらみつけたが、へだては海――それもはや模糊として、遠州灘へ浪がくれてゆくものを、いかに、龍太郎でも、飛んでゆく秘術はない。
二
ところへ、案じてかけてきたのは、小文治だった。
「若君のお身は?」
「しまッたことになった。船はないか、船は」
「あの八幡船のあとを追うなら、とてもむだです」
「たとえ遠州灘のもくずとなってもよい! 追えるところまでゆく覚悟だ。たのむ、早くだしてくれ」
「小船は一艘ありますが、八幡船のゆく先ばかりは、いままで領主のご用船が、死に身になって取りまいても、霧のように消えて、つきとめることができないほどでござります」
「ええ、なんとしたことだ――」
と、思わずどッかり腰をおとしてしまった龍太郎は、われながらあまりの不覚に、唇をかみしめた。
小文治は、それを見ると、不用意なじぶんの行動が後悔されてきた。母をうしなった悲しさに、いちずに龍太郎を下手人とあやまったがため、このことが起ったのだ。さすれば、とうぜん、じぶんにも罪はある。
かれは、いくたびかそれをわびた。