Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

二

なにかいったら賤ヶ岳で、すこし食い足らなかった腰の刀に、生血を馳走させてやるさ」

「すぐそんな気になってはこまる。こんどの御岳はただの武者修行やなにかとちがう。豊臣家のおん名をいただいてまいったことだから、もうすこし自重してくれよ。え、大九郎」

と、可児才蔵が肩をならべてゆきながら、酒の匂いのたえない井上大九郎に、しきりと意見していた。

いつもおとなしいのは真田源次郎。

ふたりの振分まで自分の肩に持ってやって、もくもくとあるき、もくもくとあたりの山をながめ、時には立ちどまって、地理山川をふところ紙にうつしている。

さすが後年九度山に身をかくしても、隠然天下におもきをなした大軍師幸村、わかい時から人の知らない心がけがあった。

ほどもなく、この人々も、小田原の人数も、甲州本街道を迂回して、岩殿山に武田家滅亡のあとをとむらいながら、御岳へ、御岳へ、と近づいていった。

御岳ののぼり口には、いくつもの小屋や厩や湯呑所などが建っていた。いま山は紅葉のまっさかりで、山腹山上、ところどころに鯨幕やむらさきだんだら染の陣幕が、樹間にひらめいて見える。

「伊達家諸士控所」