Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「やっと僧正谷へまいりましたぞ」

と龍太郎が指さすところを見ると、そこは山芝の平地で、甘いにおいをただよわせている果樹園には、なにかの実が熟れ、大きな芭蕉のかげには、竹を柱にしたゆかしい一軒の家が見えて、ほんのりと、灯りがもれている。

門からのぞくと、庵室のなかには、白髪童顔の翁が、果物で酒を酌みながら、総髪にゆったりっぱな武士とむかいあって、なにかしきりに笑い興じている。

「龍太郎、ただいま帰りました」

とかれが両手をついたうしろに、小文治もひかえた。

「なんじゃ? おめおめと帰ってきおったと」

翁――それは別人ならぬ果心居士だ。龍太郎の顔を見ると、ふいと、かたわらの藜の杖をにぎりとって、立ちあがるが早いか、

「ばかもの」ピシリと龍太郎の肩をうった。

五

果心居士は、なにも聞かないうちに、すべてのことを知っていた。八幡船に伊那丸をうばわれたことも、巽小文治の身の上も。――そして、きょうのひる、日吉の五重塔のてッぺんにいたのもじぶんであるといった。

かれは、仙人か、幻術師か、キリシタンの魔法を使う者か? はじめて会った小文治は、いつまでも、奇怪な謎をとくことに苦しんだ。