Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
智恵のたたかい
一
智恵のたたかい
一
板子一枚下は地獄。――船の底はまッ暗だ。
空も見えなければ、海の色も見えない。ただときおりドドーン、ドドドドドーン! と胴の間にぶつかってはくだける怒濤が、百千の鼓を一時にならすか、雷のとどろきかとも思えて、人の魂をおびやかす。
その船ぞこに、生ける屍のように、うつぶしているのは、武田伊那丸のいたましい姿だった。
八幡船が遠州灘へかかった時から、伊那丸の意識はなかった。この海賊船が、どこへ向かっていくかも、おのれにどんな危害が迫りつつあるのかも、かれはすべてを知らずにいる。
「や、すっかりまいっていやがる」
さしもはげしかった、船の動揺もやんだと思うと、やがて、入口をポンとはねて、飛びおりてきた手下どもが伊那丸のからだを上へにないあげ、すぐ船暈ざましの手当にとりかかった。
「やい、その童の脇差を持ってきて見せろ」
と舳からだみごえをかけたのは、この船の張本で、龍巻の九郎右衛門という大男だった。赤銅づくりの太刀にもたれ、南蛮織のきらびやかなものを着ていた。
「はて……?」と龍巻は、いま手下から受けとった脇差の目貫と、伊那丸の小袖の紋とを見くらべて、ふしんな顔をしていたが、にわかにつっ立って、