Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
かれは、その押入れの前に行って、かんのんびらきに両手をかけ、いきなり、サッと、左右にひらきました。そして、ひらいたかと思うと、さすがの悪人も、アッとさけんだまま、棒立ちになってしまったのです。
そこには、何があったのでしょう。
ごらんなさい。押入れの中の洋服は、みなかぎからはずされて、ゆかに落ちています。そして、押入れの奥のかべが、すっかりあらわれているのですが、そのかべが、一間四方もある、大きな一枚の鏡になっていて、そこに二十面相の全身がうつっていたではありませんか。いや、二十面相ではなくて、明智探偵の姿が、うつっていたのです。
かれはアッと言って、あとじさりをしました。ところが、どうでしょう、鏡の中の影はあとじさりをしないのです。ぎゃくに、こちらへ近づいてくるのです。
二十面相は、なんだかおそろしい夢を見ているような気がしました。それとも、自分は気でもちがったのではないかと、うたがいました。
ためしに、こんどは、鏡のほうへ近づいてみました。そうすれば、自分の影が、向こうへあとじさりするかもしれないと思ったのです。しかし、こんどは、影のほうはじっとしています。