Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
ふたりの少年は、思わずその前に立ちどまりました。
「ぼくのおとうさんは、こういう仏像がすきなんだよ。いっしょにあるいていて、骨董屋があると、きっとたちどまるんだよ。そして、いつまでもながめている。でも、ぼくは古い仏像なんて、きらいだな。なんだかきみが悪いんだもの。」
島田君が言いますと、木下君も、
「ウン、きみが悪いね。博物館の仏像の部屋ね、あれみんな生きてるみたいだね。ぼく、いつか博物館へいったとき、こわくなっちゃった。でも、あの仏像は、たいてい国宝なんだね。」
「ねえ、きみ、あのまんなかにある黒いかねの仏像ね、インド人みたいな顔してるね。」
「仏像って、たいていインド人の顔だよ。仏教はインドからはじまったんだもの。」
ふたりはそんなことを言いながら、だんだんショーウィンドーの横手のほうへ、まわってゆきました。横からでないと、よく見えない仏像があったからです。
ふと気がつくと、ふたりがはじめに立ちどまった、ショーウィンドーの正面に、ひとりの洋服の紳士が立っていました。ソフト帽をまぶかにかぶり、オーバーのえりを立てて、それにあごをかくすようにして、じっと一つの仏像を見つめています。