Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
九時にやってくるなんて、人さわがせなおどしもんくにすぎませんよ。」
背広すがたの中村係長が、たばこの箱を、ポケットからとりだしながら、言いました。すると、黒川記者が、
「いや、あいつは魔物みたいなやつです。けっして、ゆだんはできません。いまに、われわれの見ている前で、金庫の戸が、ひとりでに、スーッとひらくようなことが、おこらないともかぎりません。」
「ハハハ……、それはだいじょうぶですよ。小林君がうまいことを、かんがえた。あいつには影がある。影さえ気をつけていればいいのです。この地下室には電灯がついている。もし、あいつが、はいってくれば、どこかに影がうつるはずですからね。」
「ところが、係長さん、あいつには影のないときもあるのですよ。いつか、あいつがクツみがきの少年をたすけたときには、ぼくはその場にいて、見たのですが、不良青年と、とっくみあっている、あいつの影は少しもうつらなかった。地面には不良青年が、ひとりで、もがいている影が、うつっていたばかりですよ。あいつは、だれかを、こわがらせたいときだけ、影をうつすという、魔法をこころえているのじゃないでしょうか。