Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「玄能か石っころか、――重いものを持っちゃいなかったのか」
「何んにも無いから不思議で、其辺に落ちても居ず、手にも持って居ないんです。――それに腰抜け彌八の身体には、血が一と雫着いちゃ居ませんよ」
「お房と彌八は、曲者に逢わなかったのか」
「お房は表の方から、腰抜け彌八は裏の方から、両花道を所作りながら出て来たわけだが、二人共誰にも逢わなかったと言うんです」
「其辺に曲者の潜り込める穴は無いのか」
「下水は深い上に日陰で湧いて腐っていますから、人間がもぐれるわけは無く、あとは一方板塀で一方は屋並、猫の子の潜る場所もありゃしません」
「塀を越して逃げる術は無いかな」
「一刻もかかれば出来ないこともないでしょうが、忍び返しを打って居るのを、一と息には飛び越せませんよ。路地でドタリ、ギャッと言ってから、私とお神さんが飛出すまで、煙草一服ほども間を置きやしません」
「井戸は無いのか」
「ありますよ。でも、少し遠い上に、念の為に覗いて見たが、恐ろしく浅い井戸で、何んにもありやしません」
「そいつは六つかしそうだな、八」
「親分に六つかしいようじゃ、あっしにわかるわけはありません」