Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
二
て、庭へ出て見ると奇月が灯籠の下敷になって死んでいた――とこう言います。そこで一杯に張りあげると、その声を聴いて二階から堤を切ったように、一と塊りになって、皆んな飛降りて来たそうです。」
二
小梅の寮の事件の調べは、それっ切り、また停頓してしまいました。出雲屋の主人の弟岩三郎の死も、野幇間奇月の死も、明らかに人手にかかったものですが、その下手人となると、ハタと行詰って、全く疑いをかける相手も無かったのです。
そのうちに、春は一日一日と長けました。三月の末近くになると、江戸中の八重桜も名残になりましたが、行楽の夢のさめ切らない人達は、葉桜の若芽に興じて、未練がましい隅田川のほとりに、一刻の春宵を惜しんで居ります。
出雲屋岩太郎も、その遊んで倦まざる遊蕩児の一人でした。弟の岩三郎が刺されてまだ二た七日も経たず、野幇間の奇月が石灯籠に押し潰されて五日目、もうお峰とお滝を左右に引きつけ、三宜楼の二階に陣取って、千金の春の行楽に、身も心もとろけそうになって居りました。
その晩はもう、客を呼ぶのも止してしまい、お滝との祝言ごっこも断念し、二人の妾を左右に引付けて、夜と共に浅酌低唱する気だったのでしょう。