Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「そいつは私の知らないことだ。吹矢を射たのは覚えがあるが――」
浪次は躍起となります。
「吹矢を飛ばして人の眼玉を狙うような野郎だ、何をするか、わかったものじゃ無い」
八五郎はひどく此男に敵意を持って居るのです。
「あの、親分さん方」
お通はたまり兼ねた様子で、障子を開けて、そっと縁側に滑り出ました。日陰の縁側の光線は、庭の青葉に反映して、お通の青白い顔を益々青く沈んで見せますが、それがまた一種の高雅さで、この女は何処かに人間らしい情慾を置き忘れて来たのではあるまいかと、不思議な錯覚を起させる程でした。
「何んか?」
平次は振り返りました。この女と近々と顔を合せると、一種神秘的なものを感ずるような心持です。
「あの、差出たことを申すようですが、浪次さんの仰しゃることは、随分一人ぎめで私にとっては遺憾ですが、私へ仇をしたのだけは、吹矢だけだったかも知れません」
「それは又何うして?」
「階子段も風呂場も家の中のことで、外からは滅多に入られません。それから井戸端で私の髪を切ったのも、階子段から私を突き落したのも、女のような気がしてなりません」
「女?」
お通は大変なことを言い出しました。