Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

【第三回】

一

野次馬が容易に動かないのも無理のないことでした。若くて可愛らしいお菊の死は痛々しくも色っぽく、眼にしみるようなものを感じさせたのです。

「可哀想に、何んか掛けてやりゃいいのに」

平次は死骸に近づくと、大手を拡げて、多勢の眼から、それを庇ってやり度い気になりました。

露の深い路地、下水に半分身を落して、乙女の身体は斜に歪み、裳の紅と、蒼白くなった脛が、浅ましくも天に冲して居るのです。

首に巻いたのは、真新しい手拭、顔は痛々しく苦悩に歪んで、その端正さを失いましたが、それがまた一つの破壊された美しさで、野次馬の同情と好奇心をかき立てるのでした。

「八、此処に置くまでもあるめえ、家の中へ入れてやろう、手を借せ」

平次は膝を折って、娘の首にそっと腕を廻しました。

【第三回】

一

お菊の死骸は家の中へ担ぎ込まれ、お園の棺の前へ静かに寝かされました。日頃眼鼻立の細かい可憐そのもののような娘姿が、一と晩の夜露に晒されて、蝋人形のように蒼白く引締って見えるのは、言いようも無い痛々しさで、さすがに無駄の多い八五郎も、謹しみ慎しんで何や彼と世話をして居ります。

「親分、憎いじゃありませんか、こんな小娘に、怨みがある筈は無いのに――」