Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
二
八五郎の説明は、面白可笑しく手振りが入るのです。
「そんな大喧嘩始めるには、深いワケがあるだろう、言葉の行き違いと言った、手軽なことじゃあるまい」
「良い年増と年増の喧嘩だ、食物の怨みや酒の上じゃ、あんなにまで耻も外聞も忘れて、引っ掻いたり噛み付いたり、命がけで揉み合えるものじゃありません」
「男のことか」
「図星、さすがは銭形の親分」
「馬鹿にしちゃいけねえ」
「情事となると、恐ろしくカンの悪い親分だが、今度は当りましたよ、鞘当の目当ては、金沢町の平野屋の若旦那金之助――口惜しいがあっしじゃありません」
「で?」
八五郎の話術に引入れられて、平次も少しばかり興が動いたようです。
「それからグヮラ/\ドシンの、六、七人あっしの首っ玉に噛り付いて匂わせの、大夕立と来たわけで、敵も味方も何処へ散ったか、あとは四つん這いの、借着の単衣の、お先煙草の――ああ、熱い茶が一杯呑み度え」
こんな調子で筋を売る八五郎でした。
二
昔の江戸は、非常に雷鳴の多いところで、甲州盆地や、上州の平野で育てられた雲の峰が、気流の関係で大部分は江戸の真上に流れ、此処で空中放電の大乱舞となって、三日に一度は夏の江戸っ子の胆を冷やさしたのです。