Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
銭形平次捕物控
【第一回】
一
【第一回】
一
「親分は、恋の病というのをやったことがありますか」
ガラ八の八五郎は、大した極りを悪がりもせずに、人様にこんなことを訊く人間だったのです。
素晴らしい秋日和、夏の行事は一とわたり済んで、行楽好きの江戸っ子達は、後の月と、秋祭と、そして早手廻しに紅葉見物のことを考えている時分のことでした。
相変らず縁側に腹ん這いになって、不精煙草の煙の行方を眺めていた平次は、胆をつぶして起直りました。いかに親分子分の間柄でも、こんな途方も無い問を浴せられたことはありません。
「あるとも、風邪を引くと、ツイ咽喉を悪くするが――」
何という平次のさり気なさ――
「その声じゃありませんよ、恋患いの恋で、小唄の文句にもあるじゃありませんか」
「馬鹿野郎ッ」
「ヘッ」
「恥を掻かせまいと思って、いい加減にあしらって置くのに、何んて言い草だ、俺は恋患いをする柄か柄でないか、考えて見ろ」
「へエ、そうですかね――あっしのような呑気な人間でさえ、思い詰めると、鼻風邪を引いた位の心持になるんだが」
「呆れた野郎だ。お前のような人間でも、恋患い見てえなことをやるかえ」
「たんとはやりませんね。