Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

三

平次は重ねて訊きました。

三

お静の眼顔に案内されて、平次は黙ってその後に従いました。何んか重大なことがあったらしく、お静は顔を少し緊張させて、黙りこくって、神田明神の境内へ入って行くのです。

平次は妙な思い出し笑いのコミあげて来るのを、どうすることも出来ませんでした。二人がまだ恋仲であった頃、平次の姿を見付けたお静は、店からソッと抜け出して、眼顔で合図しながら、町の裏へ、河岸ぶちへ、案内して行った、楽しい逢引の一カットを思い出して居たのです。

「ね、お前さん、あの人は矢張り女よ」

明神様の裏手に廻って、捨石に並んで掛けると、顔をそっぽの方へ向けたまま、偶然並んで掛けた他人同士のように、お静は口を開くのでした。

「女? 山之助が?」

「お前さんは、そう言ったでしょう。呉服屋の番頭だと言った山之助さんの手に、撥だこのあるのは変だって」

「言ったよ、声も恰好も、男に違えねえが、素振に変なところがあるし、あの撥だこはどうも呑込めないって」

「私は、それから気をつけて居ました。すると、風邪を引いたと言って、どうしても町湯へ行かないし、もう一つ、うちへ来てから七日にもなるのに、少しも髯が伸びないでしょう」