Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
四
「では」
これも同じく盃に波々と注ぐと、盆を引いて、顔と顔が、一方は薄暗い行灯に照され、一方は月を隠した庇の闇に染まって、
「行くぞ」
口と口へ、盃は一緒に触れたのです。
四
「親分、とうとう大変なことになりましたぜ」
八五郎が、その報告を持って来たのは、翌る日の朝でした。
「何が大変なんだ。――昨夜のお月見の馬でも曳いて来たのか」
「そんな気のきいた話じゃありませんよ、いつか話したでしょう、薄墨華魁のことで鞘当てをして居る、二本差と薬種屋の若主人」
「間抜けな話さ、身請をされた女郎に未練を残す二本差の、顔を見てやり度え位のものだ」
「ところが、もう見られませんよ」
「逃げたのか、身を隠したのか」
「死んだんです」
「何? 死んだ」
「薬種屋の若主人と、果し合いの毒酒を呑んで――」
「果し合いの毒酒?」
「吾妻屋が毒酒と薬酒を二本の徳利に入れて、何方でも好きな方を呑めと言ったそうで、暗討をしかけた弱い尻があるから、大井久我之助もこいつは断われねえ」
「で、選ったのは運悪く毒酒で、浪人者が死んでしまったという話だろう」
「その通りですよ、お染さんの薄墨華魁は、短刀まで持出して止めたそうですが、二人は意地になって聴き入れなかったんですって」