Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
「内儀の位は嬉しいな」
平次のからかいにも構わず、八五郎は報告を続けるのでした。
「吾妻屋永左衛門は、三十そこ/\、金があってへえけえが上手で、ちょいと好い男で、道楽者の癖に少しケチで、――薄墨大夫のお染さんと並べると、少しヒネてはいるが見事な女夫雛ですよ――」
「――」
「それほどの大夫を根引いて宿の妻にすると、納まらないのが諸方にあるのも無理はないでしょう、ね、親分」
「俺に相談することがあるものか、話の先を急ぐがいい」
「一番納まらないのは、万両分限の身上を費い果して、乞食のようになった伊豆屋の虎松、こいつは憑かれたようになって、夜も昼も、吾妻屋の近所をうろ/\し、間がよくば一と眼でも、昔の薄墨華魁――今は眉を落した、内儀のお染さんの顔を見ようとして居る」
「浅ましいことだな」
「あっしだって、万両という身上をつぶしたら、そんな心持になるかも知れませんね」
「幸い、五両と纏った金に、めぐり逢った例もあるめえ」
「有難い仕合せで――ところで、薄墨が吾妻屋の女房になって、納まらなかったもう一人は、お弓町に住んでいる浪人者で、大井久我之助という好い男だ、年の頃は三十二、三。