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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

二

平次も苦笑いをする外はありません。

困り抜いたことがあって、若い娘が江戸一番の御用聞、銭形平次の知恵を借りに来たが、いざとなると言いそびれるか脅えるかして、あわてて逃げ出してしまった例は、今までの経験でも、二度や三度ではありません。

それを自分の手落ちにして、ひどく萎れているお静や、岡惚れ帳に書き入れ損ねて、がっかりして居る八五郎の顔を見ると、平次は歯痒ゆく馬鹿々々しく、そして腹立たしくさえ感ずるのでした。

二

この小事件は、やがて思いも寄らぬ大事件に結びつき、八五郎の形容したアノー姫が、平次の前へ大きくクローズアップされる日が来ました。それから四、五日。

五月二十八日は両国の川開き、この日から始まって八月二十八日まで、両国橋を中心に、大川の水の上が、江戸の歓楽の中心になるのです。

わけても五月二十八日の夜は、涼み船は川を埋め、両岸には涼みの桟敷を列ね、歌と酒と、男と女と、歓呼と鳴物との渦巻く頭上に、江戸中の船宿茶店その他盛り場の寄進による大花火が、夜半近くまでも、引っ切りなしに漆の夜空に炸裂して、江戸の闇に豪華極まる火の芸術を鏤ばめるのでした。