Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
三
「水をひどく呑んだように聞いたが」
「呑みましたよ、大川の水なんてものは、あまり結構なもんじゃありませんね、――徳利を持って、お酒を注ぎ廻って居ると、急にグヮラ/\と来たでしょう、私は又、大地震が始まったのかと思いましたよ」
「ところで、与之助は?」
「御免下さい、まだ変な心持で」
これは横になったまま、少し蒼い顔を振り向けます。モーションが鈍くて、おっくうそうで、誰にでも敵意と反感を持って居るような三十男ですが、こんなのが案外正直者かもわかりません。
銭形平次も、これが精一杯の調べでした。これ以上の細かい事は、少し息を抜いて、八方から情報を集める外は無かったのです。
三
それから三日目、
八五郎が持って来た、その晩の桟敷の上の人間配置図は、平次にとってはなか/\面白いものでした。
「人間というものは、不思議なものですね」
そのお団子を並べたように四十余りの丸を書いて、それに八五郎一流の拙い仮名文字で、克明に名前を書き入れたのを見せながら、大した極りを悪がりもせずに八五郎はこういうのです。
「道話の先生のようなことを言うじゃないか、何がいったい不思議なんだ、――鼻の下に口のあるのが不思議でならねえなんて無駄は御免だよ」